制作者談義:その領収書、事業に関係ありますか?

飲食店やゴルフ場で見ていると、どう考えても家族連れで来ているのに領収書をもらっている人や、友人との食事・プライベートのゴルフでも「経費で落とすから」と領収書をもらっている人を見かけます。領収書さえあれば経費にできる、と思われている方が一定数いるようです。

結論から言うと、領収書があること自体は、経費になる理由にはなりません。領収書は「支払った事実の証拠」であって、「事業に必要な支出である証拠」ではないからです。

経費にできるかどうかの基準

必要経費として認められるのは、あくまで事業を行う上で直接必要だった支出です。

  • 家族との食事:事業との関連が説明できない場合、経費にはなりません(家事費=私的な生活費)
  • 友人との食事:その友人が取引先・見込み客などでなければ、同じく経費にはなりません
  • 接待ゴルフ:取引先や見込み客との関係構築が目的であれば、交際費として認められる余地があります。ただし純粋にプライベートの趣味としてのゴルフは対象外です

ポイントは「誰と」「何のために」その支出をしたかです。相手や目的が事業に結びついていなければ、たとえ領収書があっても私的な支出(家事費)として扱われます。

事業と私用が混ざる場合は「家事按分」

自宅兼事務所の家賃や、仕事にもプライベートにも使う携帯電話代など、事業と私用の両方にまたがる支出は、家事按分という考え方で処理します。使用時間・面積・利用割合など、合理的な基準で「事業分」だけを経費に計上する方法です。これは正当な処理として認められています。「全額経費にする」のではなく、「事業で使った分だけ経費にする」という発想が大切です。

やってしまうと、どうなるか

私的な支出を経費に混ぜて申告していた場合、税務調査で発覚すると次のような扱いになります。

  • その支出が経費として否認され、所得金額が修正される
  • 結果として、追加の税金(追徴課税)と延滞税が発生する
  • 悪質と判断されれば、重加算税(本来の税額に対して35〜40%程度)が上乗せされる
  • 青色申告の場合、あまりに悪質だと青色申告の承認自体が取り消され、65万円・75万円の特別控除も失うことになる

「バレなければ大丈夫」ではなく、記帳の正確さそのものが、青色申告の特典(75万円控除)の前提になっている、ということです。

迷ったときの考え方

その支出について「税務署の人に、事業との関係を一言で説明できるか?」を基準にすると判断しやすくなります。説明できないなら、経費にせず自腹(事業主貸)で処理するのが安全です。会計ノートでは、摘要欄に取引先名や目的をメモとして残せるので、後から見返しても「なぜこの経費を計上したか」を思い出せるようにしておくことをおすすめします。

「?」と思ったら、無理に経費にしない

入力するのは基本的に1年以内の領収書・レシートですが、その時点で見て「あれ、これ何だっけ?」とすぐに思い出せないものは、税務調査が来る1年以上先には、絶対に思い出せません。摘要にメモを残すか、それでも「?」と思うようなものは、無理に経費にせず除外してしまう方が、結果的に精神的に安心です。

ただ、時にはクレジットカードの請求明細に、見覚えのない社名が出てくることもあります。そういうときは、

  • その社名でWeb検索してみる
  • クレジットカード会社に問い合わせて、加盟店の住所や業種などを調べてもらう

といった形で追求してみることもあります。それで記憶が蘇れば、レシートの余白や摘要欄にメモを残しておきます。逆に、調べても分からない・少しでも不安要素が残る場合は、経費にせず除外するのが鉄板です。「たぶん大丈夫」で計上するより、「分からないものは入れない」方が、後から見返したときも安心して説明できます。